DDR SDRAMとGDDRの違いは?用途や実装形態、動作の違いをまとめてみた

DDRメモリとGDDRメモリはどう違う?

PCでCPUと接続するメインメモリとしておなじみのDDR3やDDR4などのDDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Randam)メモリ。一方、GPUを搭載したビデオカードなどではGDDR(Graphics Double Data Rate)というメモリも使われている。

これらの違いはなかなかわかりにくく混乱する人も多いようなので、今回は私の理解の範囲でまとめてみる。なお、GPUって何?という方はこちらの記事を参照。

[プロセッサ]CPU、GPU、APUの違いとは?

歴史的にはDDRからグラフィック処理用に枝分かれしたのがGDDR

歴史的には、GPUが使用されるようになってから汎用品のSDRAMやDDR SDRAMでは性能が足りなくなったため、DDR SDRAMをベースにグラフィック専用に特化したメモリとしてGDDRが登場した。そのため、以下の引用画像からもわかる通り、基本的に同世代ではDDRよりもGDDRの方が高速な転送ができるようになっている。

画像引用元:ASCII.jp https://ascii.jp/elem/000/000/607/607606/3/

DDRとGDDRは両方とも半導体技術の標準化団体であるJEDECが標準規格を策定しているが、DDRとGDDRは別の規格として策定されている。なお、JEDECでは、GDDRについてはGDDR SGRAM(Synchronous Graphics Random Access Memory)という名称が使われている。

CPU/GPUとの接続形態の違い

歴史的な背景からもわかる通り、GDDRはGPUのメモリとして使われており、CPUのメモリとしてはDDR4などのDDR SDRAMが使われている。「GDDRの方が高速なら、CPUのメモリもDDRではなくGDDRにすれば良いのでは?」と思うかもしれないが、実際にはCPUのメモリとしてGDDRを使うことは難しい。

そもそもGDDRはビデオカードなどの基板上で、GPUの近傍に直接はんだ付けして実装することが前提となっている。一方、CPUのメモリは、一般的には拡張性を持たせるために基板上のソケットにDIMM(Dual Inline Memory Module)と呼ばれる、DDR SDRAMを実装したメモリ基板を接続して使う。

仮にGDDRをDIMMで接続すると配線長が長くなりすぎるためシグナル・インテグリティ(信号品質)が確保できずに安定した通信が難しくなる。また、動作が高速になると一般的には消費電力も上がるため熱設計が重要になるが、基板上で熱設計をする前提であるGDDRをDIMMなどで接続すると、熱設計を担保することも難しくなる。

そもそもGDDRとDDRではインタフェースも異なるため、CPUメーカーがGDDRのインタフェースに対応しない限りはCPUのメインメモリに使用することはできない。

デバイスとしての動作の違い

じゃあ実際にデバイスとしての動作はどう違うの?という話にも簡単に触れておく。実際にはコマンドとかアドレスとか色々と信号線があるのだが、ここではイメージを掴んでもらうためにSDRAM、DDR SDRAM、GDDRのクロックとデータの関係に絞って以下の図にまとめてみた。なお、GDDRはGDDR4以前とGDDR5以降でアイディアが結構かわるので、ここでは現在主流になっているGDDR5とGDDR6について書く。

まず最初に通常のSDRAMは、クロック(図のCK)の立ち上がりだけでシリアルデータ(図のDQ)を送信する。一方、DDR SDRAMメモリではクロックの立下りと立ち上がりでシリアルデータを送信しており、SDRAMに比べて帯域が2倍になることからDouble Data Rate(DDR)と呼ばれている。

次にGDDRだが、GDDR5では、クロック(CK)に加えて、クロックの2倍の周波数を持つWCLKというクロックでデータを送信する。これにより、単純に考えるとDDRの2倍の速度でシリアルデータを送信することができるので、同じ周波数のクロックに対して大きな帯域を確保することができる。ちなみにGDDR6では、WCLKをクロックの4倍で動かしシリアルデータ送信することで、さらに大きな帯域を確保している。

※SDRAM、DDR、GDDRにはこのほかにも多くの違いがあるが、ここではわかりやすい一例としてクロックとデータの関係をあげた

さらに詳しい内容はJEDECの規格書を参照

今回は私の理解の範囲でDDRとGDDRの違いをまとめてみたが、設計においては当然ながら規格書を入手して、都度参照しながら設計を進めていくことになる。

文中でも書いた通り、DDRやGDDRの仕様はJEDECという規格団体が管理している。規格書を入手するにはJEDECのWebサイトに登録が必要だが、無料登録でほとんどの規格は参照できるので、より詳しく知りたい人はこちらを参照することをオススメする。

参考文献

【福田昭のセミコン業界最前線】次世代のサーバー/ハイエンドPC向けDRAM「DDR5メモリ」 - PC Watch

ASCII.jp:グラフィック専用メモリーの進化と不透明な今後

2018年のGPUで使われる新メモリ「GDDR6」の特徴とは? 高速化と省電力の両立が鍵に

DDRはクロックの立ち上がりと立ち下りでデータを転送 | 日経クロステック(xTECH)


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