[映像] フルレンジとリミテッドレンジの違いとRGB/YUVでの階調の範囲


フルレンジ(Full Range)とリミテッドレンジ(Limited Range)とは?

SwitchやPlaystationといったゲーム機などで「フルレンジ」「リミテッドレンジ」という設定を見ることがある。映像に関わる仕事をしているとよく聞く話だが、違いが判らない人も多いと思うし、私自身も理解があいまいな部分もあったので、勉強がてら違いをまとめてみた。

フルレンジとリミテッドレンジは出力する映像の階調の範囲の違い

まず、基本的にテレビやPCのディスプレイの映像は、RGB(Red、Green、Blue)の色の組み合わせ、またはYUV(Y、Cr、Cbと呼ぶこともある)という輝度と色差の組み合わせで表現される。

以前はPCのディスプレイではRGB、テレビではYUVで映像を表現することが多かったが、最近ではRGBでの表示に対応したテレビも増えている。
※RGBとYUVの違いを説明しだすと長くなるので、今回は深く立ち入らない

R、G、B、Y、U、Vの信号はそれぞれ8bit(10bitや12bitの場合もある)の数値で表現される。例えば8bitだとがそれぞれ0~255の数値で表現され、この色の段階のことを階調という。PCのモニターなどでは一般的には以下の画像のように、RGBの数値が0に近づくほど暗くなり、255に近づくほど明るくなる。この8bitのR、G、Bの組み合わせにより、色を表現する。


そして本題のフルレンジ、リミテッドレンジだが、この2つの違いは「映像の階調を制限するかどうか」である。例えばRBGのフルレンジでは、その名の通りRGBを最大限(Full)の0~255で表現する。リミテッドレンジでは、RGBを制限(limited)された16~235の階調に制限して表現する。ちなみに、映像業界だとリミテッドレンジをビデオレンジと呼ぶこともある。

RGB、YUVのリミテッドレンジの階調範囲

RGBとYUVではリミテッドレンジの範囲が異なり、8bitの場合は
  • RGBではR、G、B全て16~235
  • YUVではYは16~235、U、Vは16~240
という範囲と規定されている。表にすると以下のようになる。


少し古いが、以下のようにPlayStation3のマニュアルでも、リミテッドレンジが規定通り16~235になっていることがわかる。

PS3™ | RGBフルレンジ(HDMI)

もともとは、PCディスプレイなどのRGBの映像ではフルレンジが使われ、テレビなどのYUVの映像ではリミテッドレンジが使われていた。また、現在でもRGBはフルレンジ、YUVはリミテッドレンジを使うケースが多い。

ただ、RGB出力できるテレビが出てきたり、映画やテレビ番組のストリーミングサービスの普及でYUVの映像をRBGに変換したりするケースが増え、RGBのリミテッドレンジやYUVのフルレンジ(こちらはあまり見かけないが)が使われるケースも増えてきている。

階調範囲はどうやって決まっている?

簡潔に言うと、規格で決められている。ただし、全世界で統一されたひとつの規格があるわけではなく、テレビ放送局系の団体だったり、家電系の団体の規格の中で定義されている。

放送系ではITR-Rという団体のBT.601、BT.709という規格で、家電系ではCTAという団体のCTA-861という規格で、上記の色調の範囲が定義されている。規格は色々あるのでややこしいが、どの規格でも8bitの場合は
  • RGBではR、G、B全て16~235
  • YUVではYは16~235、U、Vは16~240
の関係は保たれている。ちなみに、10bitや12bitの場合でも規定はされている。(例えば最近のCTA-861-Gでは、どのbit数でも対応できるように計算式の形でリミテッドレンジの範囲が規定されている)

また、HDMIにおいてもフルレンジ、リミテッドレンジの情報をAVI InfoFrameというパケットにより機器間でやり取りしているが、リミテッドレンジ、フルレンジの定義についてはCTA-861を参照している。


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