[部品]ESD、EOS、サージの違い


半導体などの電気部品で使われるESDやEOS/サージの意味

半導体などの電気部品を扱っていると、EOSやサージ(またはサージ電圧)、ESDといった言葉をよく聞く。今回は、これらの言葉の意味や違いをざっくりと説明したいと思う。

まず、それぞれの一般的な言葉の意味は以下の通り。
  • Electro-Static Discharge:日本語だと静電気放電などと訳される。その名の通り、静電気による放電現象を指す。
  • Electrical Over Stress:日本語だと電気的オーバーストレスと訳される。過電流や過電圧がかかる現象を指す。
  • サージ電圧:英語だとSurge Voltage。時間幅を持った過電圧のことを指す。

EOSとサージは同じもの?

言葉の意味としては、上述の通りEOSは電圧、電流を含む電気的な過負荷全般を指すが、サージ電圧は時間幅を持った過電圧のことを指す。

イメージ的にはEOSの中にサージが含まれるような関係だが、実際の設計の現場ではEOS = サージとして、あまり区別せずに同じ意味で使われている印象がある。

いずれにしても、次の節で説明するように、ESDよりも長いスパンの電気的な負荷だというイメージを持っておくと良いと思う。

ESDとEOS/サージの違い

ESDとEOS/サージの違いは過負荷の時間的な幅にある。

ESDによる過電圧は、瞬間的で時間が短いという特徴がある。一方で、EOS(サージ)はESDよりも長い時間、過電圧がかかり続けるという特徴がある。大雑把なイメージ図を以下に描いてみた。

なお、ESDとサージの試験はIECによって規格化されており、IEC61000-4-2がESDの試験、IEC61000-4-5がサージの試験の規格になっている。規格の名前でググると測定器メーカーなどが内容を説明している資料が多く見つかるので、より詳細な内容を知りたい人は調べてみてください。


ESDやサージの対策は?

最も一般的なのは、ツェナーダイオード、またはバリスタを使用して、ESDやサージをグランドに逃がす対策。

いずれの部品も、ESD/サージ保護用途のものはメーカーのデータシートに「ESD保護用」とか「サージ保護用」などの想定用途の記載がある場合が多いので、まずは自分が使いたい用途にあった部品か確かめ、ツェナー電圧/バリスタ電圧などを細かいスペックを確認して選定していくと良い。

細かい選定のポイントなども、そのうち記事にして書きたいと思う。

参考文献

ソニーセミコンダクタソリューションズ - 半導体品質・信頼性 ハンドブック 第3版
https://www.sony-semicon.co.jp/csr/common/pdf/Handbook_j_201812.pdf

アンリツ株式会社 - ESD/EOSによる故障をなくすための 測定環境対策
https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/files/Application-Notes/Application-Note/esd-eos-j00.pdf

パナソニック - サージ/ESD(静電気放電)の種類と対策
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/n2

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