[計測]オシロスコープの周波数の選び方:デジタル信号5倍ルールの根拠

オシロスコープの周波数はどうやって選ぶ

オシロスコープの帯域はどの程度のものを選べばよいだろうか。 結論から言うと、デジタル信号を観測する場合、多くのオシロスコープメーカーでは、測定したい信号の周波数の5倍以上の周波数帯域を持つオシロスコープの使用を推奨している。

例えば、100MHzの信号を測定したい場合は、500MHz以上のオシロスコープを選ぶ、というような具合だ。

ただ、この5倍ルールはどこから来ているのだろうか? 5倍ルールの根拠と考え方を今回は深堀りしてみる。

矩形波の第5次高調波までを見たいから

まず、デジタル信号のHIGH/LOWを繰り返したときの波形を、矩形波(方形波)として考える(厳密には、立ち上がりと立下り時間があるので完全な矩形波ではないが)。

少し難しい話になるが、矩形波をフーリエ級数展開すると、サイン波の重ね合わせと考えることができる。

このサイン波は、基本波に対して奇数倍の周波数を持っているため、基本波、第3次高調波、第5次高調波、第7次高調波、…というように足し合わされていくが、次元が高い高調波では、だんだんと振幅は減衰してくる。


デジタル信号の周波数を、フーリエ級数展開した時の基本波の周波数と同一だと考えれば、実用上、第5次高調波(基本波の周波数の5倍)程度が観測できれば、矩形波をある程度正確に観測できる、ということが5倍ルールの根拠になっている。

もちろん、7次高調波以降までとらえることができればより正確な波形になるかもしれないが、たとえ高い周波数のオシロスコープを使っても、しっかりノイズなどをケアしないと高調波が埋もれて測定が意味を成さなくなってしまう。

何倍にするにせよ、どの高調波までを見たいかを意識する

注意すべきなのは、5倍というのはあくまで目安であって、信号のコンプライアンステストなどでより正確な測定が求められる場合は、7次高調波以降もとらえられる帯域を持つオシロスコープを使用する必要があるかもしれない。

 逆に、趣味の電子工作でざっくりとデジタル信号の遷移がわかればよいのであれば、信号の帯域の3倍(3次高調波までをとらえる)程度でも十分なこともあるだろう。その場合でも、自分が扱う信号がどの程度の周波数になるかを考慮して、オシロスコープを選定する必要がある。

高帯域なオシロスコープは値段も高価になってくるため、使用目的と予算に合わせて、必要なオシロスコープを選ぶのが大事。


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